公益社団法人 全国私立保育連盟

保育のひとくふう

保育園における緑化は、「清涼感が高まる」「温暖化をやわらげる」「疲労感をやわらげる」などすべての効果について期待度が高く、目に入る緑が多いというだけで、真夏日の不快感をやわらげるのに役立てると考えています。

 

また、「季節の花や緑を観賞する場所」「ガーデニングを楽しむ場所」など花や緑に関わることで、子どもたちが自然を学び想像力を高めるとともに、コミュニティの交流の場としての活用も可能と考えられます。そんな日々の生活において保育室の中では目に触れることの多い観葉植物は大切な存在です。

観葉植物の葉は、光合成をすることが大きな目的ですが、その葉の形に目を向けてみると様々な形があり、とてもユニークな形のものも存在します。

ユニークで不思議な形の葉は、インテリアデザインの一部としてだけでなく子どもたちの好奇心を抱く環境の一部としても当園では、いつも触れることが出来るようにしています。

当園は一昨年園舎を移転改築しました。新園舎は海際に立地し、穏やかな瀬戸内海が保育室から一望できます。晴れた日には海の向こうに四国山脈を望むこともできます。

新園舎の設計にあたり、この自然を身近に感じることができることにこだわりました。ガラス面を多く取り入れることにより、広々とした風景が子どもの視線で眺められ、また、海から吹く風と光を充分に室内に取り込む構造となっています。

風のよく通る、明るい廊下は、保育室ばかりでなく子どもたちの楽しい遊び場となっています。開放的でゆとりのある空間は、子どもたちがのびのびと自分を発揮できる環境につながっていることを実感します。

畑を改修して2年目、やっといい感じになってきました。

保育園の畑のあり方として、限られたスペースの中で効率よく野菜を植え、そして収穫するということよりも、日常的に作物に触れたり変化を感じたりすることがまず先で、そこから野菜に対しての関心が高まっていくことにつながれば…と考えています。

触れる、育てる、体験できるという要素は遊びの大事な要素で、それを体験しやすい畑を子どもたちにもっと近い存在にするために、広くし、そして中を自由に歩けるよう道を作りました。

また、きゅうりのトンネルなんかもいい具合に育ってきています。ちょっと薄暗いトンネルを抜けるとその先にはいい感じに水たまりができてたりして…。子どもでなくても惹かれてしまう風景です。

何の野菜を植えるかを子どもたちと話し合って決めたりするので、そのことからも野菜に対しての関心は深くなっていると思っています。

当然虫もたくさん集まってくる場所なので、虫に興味のある子はよくここで活動しています。広く生き物に対して興味をもつ場ということになるかもしれません。

当園は、日本渚百選にも選ばれた風光明媚な海水浴場のすぐそばにあります。夏は海水浴客でにぎわう海岸は、一年中を通して、園児たちの第二の園庭です。

砂浜でかけっこや鬼ごっこ、砂遊び、磯で生き物観察など、さまざまな体験ができます。岩場の歩き方や生き物の捕獲の仕方などは、大きいクラスの子の様子を見て、小さい子も自然と体得していきます。

潮風に吹かれながら広い海岸を思い切り走り回ったり、磯の自然に触れ、たくさんの発見を友だちと分かち合ったり。海辺でいきいきと過ごす子どもたちは、自然と一体になった自由な姿を見せています。

その子どもたちが一番目を輝かせるのは、海の中に入って遊ぶときです。プールと違い、海はその日その時で表情を変えていきます。全身で、満ち潮引き潮といった潮の変化や波の状態を感じることから、遊びもさまざまに発展していきます。

自然の中で遊ぶ楽しさを幼児期にしっかりと味わって欲しい、自然の細やかな変化や豊かさを五感で感じて欲しいという保育者の思いを持って、この海辺の自然環境を最大限、保育に活かしていきたいと思っています。

 

当園のこだわりは「もくもくの日」。

週に一度の活動ですが、地域の自然の中へ出かけていって、そこで一日中過ごす日を「もくもくの日」と呼んでいます。一年中、どんな天気であろうと出かけていくのが特徴です。

朝9時に保育園を出発し、子どもたちの興味・関心の赴くままに拠点となる場所へ向けて歩いて行きます。1時間で到着することもあれば、2時間経っても到着しないことも。

おもしろい草や虫などを見つけたり、目的地までの道でも子どもたちは五感をフルに活用して遊びを始めます。そこで感じた好奇心が意欲となり、挑戦につながり、そして学びになっていくというプロセスを大事にしています。

自然の中には同じものを2つとありません。同じ場所でも、行くたびに風景が変化しています。全てのものが多様であるという当たり前のことを直接触れるなどの体験を通して学ぶ機会もとても貴重です。

また、活動の中では子ども同士の関わりが多く見られます。遊びの場面だけでなく、例えば急な斜面を登れずに困っている子を自然と誰かが助けたりとか。

自主的に活動する姿もよく見られますが、友だちの気持ちに共感する姿から社会性の育ちを感じることもできます。

駐車場・長崎県

自然との共存を目標に掲げている当園では駐車場も工夫をしています。

最初、枕木で作り間に芝かハーブを植える予定でしたが、植物がなかなか育たず、そのうちに防腐剤を塗ってなかったため五年後から腐食が目立ってきました。

それに変わるものとして今回施工したのが、透水性アスファルトの上に遮熱型のカラー舗装したものです。水溜りができず、夏も他の道路より10度ほど熱が抑えられます。

H保育園は3歳までの乳児専門の保育園です。人間としての『根っこ』が形成される大切な時期を過ごす保育園として、子ども達の情緒を安定させ、感性や創造力を育むツールとして「絵本の読み聞かせ」に力を入れています。

先生の膝の上に座って絵本を読んでもらっている時間は、大好きな先生を独占できる至福のひと時だし、お友達と一緒に読んでもらっている時間は「お話の世界を共有できる」コミュニケーションのひと時となります。

また、絵本には「言葉ではなく絵でなければ味わう事のできない人間の感性に訴える美しさ」があります。そうした絵の美しさと言葉のリズムや響き、それを読んでくれる人の温もりを味わうことができるのが絵本です。

しかし残念ながら、市販されている全ての絵本が子どもにとって良いばかりという訳ではありません。「売る」ためにキャラクターを使用した物や、マンガのような絵が描かれている物などもあります。

ですから、優れた絵本や名作と言われる絵本を数多く読み聞かせする事で、子ども達の絵本に対する審美眼を育てると同時に、保護者の方々にも良い絵本を紹介するために『絵本だより』を年数回発行して、保護者の方々への啓発も行っています。

保育室としての機能を考えるときにいくつか大切にしていることがあります。そのひとつとして、出来るだけ自然な明るさを取り入れる事、そして部屋の明るさを補う照明器具です。

公共建築の照明器具は、部屋を明るくするだけの機能を重視した直管形蛍光管が多いと思います。確かに電気の効率を考えると照明を常時点灯しているので仕方ないかもしれません。

その点、保育園の生活は日中ほとんど自然の光の中で過ごし、夕方暗くなってきたころから徐々に灯りをつけますので部屋の明るさをどのように補うのかがポイントになります。

だからこそ保育室には機能とデザインを両立出来る存在の照明器具であって欲しいと思います。照明器具のデザインの力で空間イメージを変えることが出来れば、温かみのある空間演出が出来ます。

そして、子どもたちも日ごろからデザインされたものと過ごすことによって、より感性を育む事に結びつくのではないかと考えています。

保育室のどこか1か所だけでも照明を変えることによって今までとは、違う空間が演出が出来ます。デザインされた照明器具は、点灯しない状態でもその存在感は素晴らしいものがあります。

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