公益社団法人 全国私立保育連盟

その9 水辺の生きもの(カモ・サギ編)

その9水辺の生きもの(カモ・サギ編)

 冬が近づく頃、渡り鳥がやって来ます。近くの川や池に行くと、カモを見かけることがあります。カモは基本的に夜に動くことが多いので、昼間にじっくり観察できます。今回は、カモの仲間を紹介します。渡りの初めの頃は、オスはエクリプスという状態でやって来ることがあります。これは繁殖期後に、メスの地味な羽色に似せて目立たないようにするためといわれています。夏に動物園でカモを見ると、一見メスばかりに見えるのはこの状態だからです。

1マガモ

 代表的な種類で、オスは「アオクビ」などと呼ばれています。鳥は基本的に、オスがきれいな羽色ですが、カモはきれいな羽をしていると感じれば十分です。オスの背中は少し灰色で、メスは草の色に似ています。実は、アヒルはマガモを家畜化したものといわれ、鴨料理の合鴨も同類です。食べ物は主に水草類です。冬場はそれほど移動しないので、散歩先でも出会えます。

2オナガガモ

 胸が白くて尾が長いのが特徴で、全体的にスマートです。水草を食べる時のポーズが特徴で、頭を水の中に入れて足でバランスさかをとり、さかさまで食べます。お尻のあたりに少し淡い黄色い模様が見えます。

3ヒドリガモ

 小型で、群れていることが多い種類です。もう少し小さくてよく似たコガモも一緒にいることがありますが、ヒドリガモは頭の上がモヒカンのような模様、コガモは目のまわりが栗色と緑色が特徴です。どちらも小さいので見つけにくいと思いますが、特徴を知れば子どもはすぐに見つけてくれます。水量が多くなると流されないために、陸地に上がることがあります。

4カルガモ

 比較的大型で、日本で子育てをするので一番有名かもしれません。この種類のオス・メスは同じ模様で、体の大きさも同じなので区別がつきません。冬は子育ても終わっているので、親子一緒の姿は見かけません(たまに親離れできない個体がいることも)。

5カイツブリ

 カモではないですが、池にいることが多いです。見つけるとすぐに潜ってしまい、少し離れたところにぽこっと姿を現してくれます。足が体の後ろ側についていて、水中での姿は見ることはできませんが、この足がスピードを出して小魚を追いかけるのに役に立ちます。日本で子育てをするので池などで見かけることがあります。子どもを背中に乗せて移動する姿はとても可愛いです。鳴き声が特徴的で、ケレケレケレと冬の水面を走るように声が聞こえます。

6オオバン

 水中に潜るクイナの仲間にバンとオオバンがいます。バンは留鳥りゅうちょうですがオオバンは冬鳥です。近頃、オオバンも都会で見かけることができるようになりました。バンはくちばしからひたいにかけて赤く、オオバンは白いのが特徴です。

7カワウ

 鵜呑うのみという言葉があるように、よく食べるカワウ(夏の鵜飼いの鵜は、実はウミウです)。カワウはよく魚を食べるので、魚を食べる他の水鳥は追いやられてしまい、繁殖率も高いので数がどんどん増えています。コロニーのような巣を作るので、糞害が問題にされています。以前、東京の上野公園の不忍池にたくさんいました。琵琶湖でも問題になりました。今は追いやられていませんが、追いやられた鵜は他の地域で繁殖して被害が広がっているようにも見えます。しかし、鵜はとても可愛い水鳥で、身体が濡れると暖かい日には羽を広げて乾かしています。他の鳥でこんな姿は見たことがありません。

8サギ

  冬によく見かけるサギの種類は、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ゴイサギです。チュウサギは主に夏鳥としてやって来ます。大中小といわれても、実は比べてみないとわからないのですが、コサギは足の指が黄色くて、黄色い靴下をはいているようで、飛んでいてもこの黄色は目立つので観察しやすいです。餌を捕る時もこの足を小刻みに動かし、魚を追い出す姿はとてもユーモラスです。ダイサギは嘴も足も黒いので見分けがつきます。アオサギは、実は青くありません。どちらかというと灰色がかっています。サギの中では一番大きく、飛ぶ姿はとても雄大です。川では動かないでいることが多いのでじっくり観察できます。

ダイサギ
9オシドリ

 おしどり夫婦などといわれていますが、実は毎年夫婦関係は解消して新しいペアーが生まれます。繁殖は水鳥なのに、水辺の大きな樹のほこらなどで行います。毎年同じところにやって来るので、観察はしやすいです。

観察のポイント

 年長児ぐらいになると望遠鏡で見ることができます。鳥にピントを合わせるのは大人がしなくてはなりませんが、一度合わせるとそれほど移動はしないのでじっくり観察できます。この時、子どもは片目で見ることが難しいので、どちらかの目を手で押さえると見ることができます。近隣に鳥好きの方がいらっしゃったら、お願いして見せてもらうのも一つの方法かもしれません。バードウォッチャーは結構いらっしゃいます。

小泉造園代表/京都女子大学非常勤講師 小泉昭男