公益社団法人 全国私立保育連盟

保護者

今、保護者に届けたいメッセージ 第18回①

「まとめに代えて(1)」
鯨岡 峻(京都大学名誉教授)


この連載17回の内容を振り返る

 これまで、苦手な連載を何とか17回にわたってお伝えしてきました。これまでの17回を振り返って、各回のテーマを並べてみると次のようになります。

 第1回「わが子は今、何を一番求めているでしょうか?」、第2回「子どもの「できる、できない」から、子どもの心に目を向けるために」、第3回「これまでの発達の見方は、子どもを幸せにしましたか?」、第4回「新しい発達の見方から見えてくるも(1)」、第5回「新しい発達の見方から見えてくるもの(2)」、第6回「「育てる」とはどういう営みでしょうか」、第7回「育てることは、なぜ難しいのでしょうか」、第8回「育てる営みを振り返る」、第9回「心の育ちの中でも信頼感と自己肯定感は必須のものです」、第10回「子どもを「叱る」ことは難しい」、第11回「「褒めて育てよ」といわれていますが…」、第12回「自己主張は大事ですが…」、第13回「「お互いさま」の心の育ちも大事です」、第14回「お母さんの自己肯定感は?」、第15 回「子どもは保育園で頑張っています」、第16 回「「あー、お弁当おいしかった!」」、第17回「子どもは子ども、でも子どもは未来の大人」

 第1回目は、子どもは親の愛情を何よりも求めていることを冒頭に伝えたいと思いました。そこが不十分な場合、子どもは保育の場で決まって心が不安定になるからです。第2回目は、力の育ちも心の育ちも大事だけれども、長い目で見れば力よりも心の育ちが大事だということを強調して、世の中の「力、力」という一般的な考え方に疑問を呈ていしてみました。第3回〜第5回までは、従来の発達の見方が「力が先」という見方をもたらしてきたことを踏まえ、心に目を向けた発達の考え方が大事という自説を主張しました。それは、従来の発達の考え方に「育てる」という視点が含まれていないことの指摘でもありました。

 そこで第6回〜第8回までは、「育てる」という営みの難しさについて保護者の皆さんにも多面的に考えていただきたいと思いました。続く第9回〜第13回は、子どもの心の育ちや心を育てることにかかわって、信頼感、自己肯定感、叱る、褒める、自己主張、お互いさま、をテーマに論じました。これは、第2回で示した連載の方向性とも結びつくものです。そして番外編として、第14回にお母さんの自己肯定感を取りあげました。これは、子どもを育てるうえにも大事なものだと思われたからです。

 第15回では、子どもも保育園で頑張っているので、その頑張りをお母さんに認めてほしいと思って書いてみました。そして第16回はお弁当の日を取りあげて、お母さんの愛情の詰まったお弁当という視点から、連載初回の「子どもが今一番求めているのはお母さんの愛情だ」ということをもう一度ダメ押しをしておこうと思いました。第17回は、本当は第5回の後に入れたかったのですが、内容的に重複するところがあるからと没にしていたものです。しかし、今読み返してみて、捨てがたい中身も含まれているので、落穂ひろいの意味で、ここに入れさせていただいたというものです。

>②子どもはいつも大人に認めてほしいと思っています