公益社団法人 全国私立保育連盟

保護者

今、保護者に届けたいメッセージ 第16回①

「あー、お弁当おいしかった!」
鯨岡 峻(京都大学名誉教授)


お弁当の日

 保育園では、普段は給食ですが、たまにお弁当の日が用意されます。お弁当の日はどの子もとても楽しみにしていて、お弁当箱を開けた時の子どもの笑顔は、嬉しさや喜びに満ち溢れています。しかし、朝は毎日戦争のようにバタバタと忙しいお母さんにとって、お弁当の日は準備が大変ですね。
時には、「朝は忙しくて、とてもお弁当を用意する時間などないのに」と嘆くお母さんの声も聞こえてきます。

 ある先生は、「お母さんの忙しい気持ちもわかりますが、子どもたちはとても楽しみで、単にお弁当が美味しいからだけではなく、そこにお母さんの愛情が詰まっているとわかるから嬉しいのでしょうね」と語り、ある日のクラス便りには、「お弁当の日が決まると、その日までに親子のあいだでお弁当を巡っていろいろなコミュニケーションができます。どんなお弁当がいいのか、親子でコミュニケーションをしっかりもって、子どもさんの喜ぶお弁当にしていただきたいですね。もしもお弁当の用意や、お弁当の作り方がわからないなどのことがありましたら、お弁当の作り方のレシピを書いたチラシも用意していますので、参考にしてください」と書かれていました。

 確かに、お母さんは毎日忙しく、帰って大急ぎで夕事の準備、夕食が終わったら子どもたちをお風呂に入れて寝かせてと、子どもたちが寝静まるまで大変でしょう。そこにお弁当の日が来ると、そのための買い物もしなければならないでしょうし、朝の準備も大変でしょう。だから、しょっちゅうお弁当の日というわけにはいきませんが、子どもは「パンダのおにぎり弁当がいい」「ウインナーの入ったお弁当がいい」など、自分の好きなものの入ったお弁当をお母さんに伝え、お母さんも忙しさの中で子どもの喜ぶお弁当を作ってあげようと思う人がほとんどです。

 しかし、いろいろな事情でどうしてもその日はお弁当を用意できない人もおられます。ですから保育者は、そういう場合を想定して、2、3人の子どものお弁当を別に用意しておくことも稀ではなく、お弁当のない子どもがいないように、様々な配慮をしてお弁当の日を迎えるのが普通です。

>②「あー、お弁当おいしかった!」