公益社団法人 全国私立保育連盟

活動報告

青年会議幹事会・青年会議特別セミナーin オンライン報告

1 青年会議令和3年度第4回幹事会報告
 2月15日、コロナ禍による完全オンライン形式で令和3年度第4回幹事会が開催されました。

■協議/審議事項
第1号議案 第 40 回全私保連青年会議宮崎大会
 徳重実行委員長より、宮崎大会の事業報告および収支決算について説明がなされました。事業報告の中では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、 準備期間も含めて約3年間、2転3転となった宮崎大会ではありましたが、完全オンライン形式での全国大会を構築することで、実行委員会の中にも「従来に捉われない」という新しい価値を持つことができたことについて、またオンラインにより全国からたくさんの参加をいただき、収支も安定した大会運営ができたとの報告がありました。
第2号議案 第 41 回全私保連青年会議愛知大会
 竹腰実行委員長より、愛知大会について、大会記念講演の講師、分科会(調査研究部担当)の講師選定についての協議、審議がなされました。ともに大会コンセプトである「PRODUCE」にちなんだ講師選定であることが報告され、全会一致で承認されました。また青年会議広報部とも連携しながら、愛知大会を積極的にPRしていくことが報告されました。

■報告事項
(1) 各都道府県および各ブロック報告
 東海北陸ブロックより、昨年11月23日に完全オンライン形式で開催された東海北陸ブロック研修会について報告がなされました。講師に(株)フェリアンの桑戸先生をお招きし、保育者の個性を尊重しながらも組織人としての意識を育てる、また自園の目標や組織アイデンティティを持つことの重要さについて話され、大変有意義な研修会となりました。
(2) その他
 コロナ禍による行政や保健所の対応は、現在かなりの地域差を感じてきています。その中での園運営においても、さまざまな課題等について質問や意見が出されました。特に職員が新型コロナウイルスに感染した場合、有休処理にするのか特別休暇を与えるのかについての質問では、出席幹事の62%が特別休暇、34%が有給休暇、4%がその他という結果になりました。全国各地でおかれている状況が違いますが、新型コロナを含む諸問題について、幹事会でも幹事の皆様とさまざまな情報を共有していくことが大切であると感じました。
 前記したすべての審議事項は、全会一致により可決され、次回幹事会は5月11 日に開催予定です。

2 青年会議特別セミナーin オンライン報告
 2月15日、「with コロナ時代を生き抜くための経営とは?─生き残りをかけた戦いに挑むための学びを深める」と題して、青年会議特別セミナー in オンラインを開催しました。今回のテーマは、「今後の園運営とブランディングについて」。施設運営のスペシャリストの先生による講演とユニークな先生 方によるパネルディスカッションが行われました。

■講演/公定価格の理解を深め、生き残るための経 営を共に考える
講師:(株)福祉総研代表取締役・松本和也氏
 まず初めに、私たちが普段当たり前のように使っていた決算諸表の用語の数々を、一つひとつ丁寧に解説していただき、似たようなものと思っていた数字は、実はこういった意味の違いがあることなど、 経営を理解するために必要な基礎知識をご教授いただきました。「生き残る」がテーマでしたが、利益増を目指すとサービスの低下につながることを留意しなければならないなど、福祉の観点からの重要なご指摘もいただきました。
 今回得た知識はすぐにでも園運営に役立つものばかりでした。ご参加いただいた全国の先生方にとって、しっかりとした福祉の理念の下に安定した運営を目指していく新たな契機になればと思います。

■パネルディスカッション/選ばれる園になるため のブランディング戦略とは?   
 3名のパネリストから、次のような「ブランディングのポイント」をいただきました(コーディネーター:全私保連青年会議企画部・松本優雅氏)。

◆ 野上美希氏 社会福祉法人風の森統括
・国基準2倍の保育士配置による働き方改革
 その結果として保育者に心のゆとりが生まれ、子 ども一人ひとりと向き合うことができると思っています。またフリーの職員を積極的に配置することでノンコンタクトタイムを確保し、事務作業(計画や記録)の時間をとることが可能になります。
・SNSを活用した採用ブランディング
 さまざまなSNSツールを活用することで、就職を希望する学生との距離が縮まり、SNS経由での採用も実現しています。また、人材確保に係る経費もかなり抑えることができるのではないでしょうか。保育士の質向上を考えるうえで最も大事なのは保育者の存在です。保育者が生き生きと働き、子ども一人ひとりとしっかりと向かい合うことが質の高い保育につながっていると感じています。

◆ 高原友美氏  まちのてらこや保育園代表
・まち全体が保育園
 「まちの中に子どもたちの居場所がない」という、 都心ならではの保育園が抱えるデメリットを強みに変えるためのアプローチの手法
*まちのみんなが先生/地域の方々を園にお迎えしたり出向いたりして、子どもたちが生きた知識にたくさん触れることができます。また園と地域との結びつきを深めることができています。
*まち全体が保育園/まちにあるお店や資源を探索するとさまざまなモノや人、仕事を目にすることができます。まちのシンボルとなる園を目指し、保育の環境構成を行っています。園舎からまち全体に飛び出したことで、保育園認知度が向上し、他園からの転園者が急増、また保育者が誇りを持って日々保育をすることができていると実感しています。

◆ 帯田英児氏  川内すわこども園SECOND 園長
・ブランドアイデンティティ(保育コンセプトや在り方の構築)
 私たちが日々行っている保育の内容は園で大切に している“思い”や保育のコンセプトと一致してい るか、そこが出発点、アプローチの第一歩となります。だからこそ、私たちの園の自慢できるところや好きになってもらいたいところをできるだけ具体的かつ明確にしていくことが大切だと考えています。
・特に大切にしたい“インナーブランディング”
 園の持つ価値(ブランドアイデンティティ) を職員間で共感、共有、浸透させていくことが一番大切だと思っています。自園では2つのカテゴリー(保育の内容、職員の働き方改革) に分けて、園内研修や職員会議、ショートミーティングやSNS等を活用しながら職員間で学び合いを深めています。
・“アウターブランディング”は誰に向けて
 まずは自園の保護者に対して、さまざまなSNS等のツールを活用しながら、日々行っている保育を 正確にわかりやすく丁寧に伝えていくことが一番大切だと思っています。それがしっかりとできていれば、おのずとその先にある採用ブランディング等にもつながっていくのではないでしょうか。

 今回の特別セミナーは、これからの保育経営を担う青年保育者として、子どもやそこで働く保育者のために何をどう変化していかなければならないのか を考える一つのきっかけになったのではないでしょうか。たくさんのご参加をありがとうございました。